ADHDの良さをいかしてフリーランス活動を成功させる方法

ADHD プログラミング

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どのような過程でフリーランスのエンジニアになったのか、ADHDの特性とどのようにつき合っているのか、エンジニアの楽しさや難しさをQ&A方式でご紹介しています。

フリーランスのエンジニアは、ADHDの特性を持つ人にとって適職の一つとも言われています。その理由は、一人で黙々と作業ができて、一案件あたりの単価が高いから。

僕自身もADHDで、フリーランスのエンジニアとして活動しています。

ADHDでなくても、会社員生活が苦手な人にとってフリーランス・エンジニアの職は、安定的な生活を得るための手段としても良い選択肢の一つです。

──フリーランスのエンジニアとしてどんな活動をしている?

上流から下流工程まで、幅広く対応するエンジニアとして活動しています。チームアップしてグループワークをすることもあり、自分がプロジェクトマネージャーとして動くこともあります。

フリーランスエンジニアの活動と並行して、システム開発などを行う株式会社ヲタクリエイトの代表、社会人のためのプログラミング学習サービス『ヲフトレ』代表と講師も努めています。

──なぜフリーランスのエンジニアを職業に選んだのか?

ADHDの特性があり、会社勤めが性に合っていなかったため、フリーランスを考えるようになりました。数ある職種の中でもエンジニアを選んだのは、なるべく一人で作業できる仕事で、一案件あたりの単価が高い仕事がしたかったから。

エンジニアになる前は、ホームページ制作を請け負うWEBデザイン事務所に勤めていました。WEBデザイナーとしてフリーランスになろうと思っていたんです。

けれど、WEBデザイナーは参入者も多くて、単価も低い。フリーランスになっても、経済的に豊かになるのは難しいなと感じていました。

  • 会社勤めが性に合っていなかった
  • 時間あたりの単価が高い仕事をしたかった
  • 経済的にも精神的にも豊かになりたかった

──何をきっかけにエンジニアに興味を持つようになったのか?

WEBデザインでコードを書く作業を外注することがあり、そこで単価が高いなと思ったのがきっかけですね。WEBデザインの仕事もいろいろなアイデアを考えられたりして面白かったのですが……。

将来のことを考えれば、エンジニアのほうが安定性もあり、個人で活動もしやすい。自分のADHDの特性にも合っていると思ったからですね。

──ADHDだと気づいたきっかけは何か?

高校時代からアルバイトを転々としていて、どれも長続きがしなかったんです。口頭で指示されたことができなかったり、人と関わるのに疲れたり。目的らしい目的もないまま働いていたので、叱られると嫌になって辞めたりを繰り返していました。

そんなことを繰り返しているうちに、20歳を越えて。このままではダメだという思いもあって、アルバイトが長く続かない理由を考えるようになったんです。

そこで、自分にはもしかしたら何か欠陥があるのかも?と思うようになって。いろいろ調べていくうちに、自分がADHDの特徴に当てはまるところが多いことに気づきました。気づいてからは、しばらく自分がADHDだと受け入れられなくて。

でも、ADHDだと診断されてしまったほうが、逆に気持ちが切り替わるかもと思って、22歳のときに受診を決意しました。結果はADHDとのことで、「ああ、これでもう苦手を克服しなくていいや」と思えるようになりました。

──なぜ苦手を克服しなくていいと思ったのか?

ADHDの特性による苦手なものというのは、数をこなしたり、工夫したからといって治るものではないん。だったら、苦手を克服するのに使っている時間と労力を、自分ができるものに集中して注ぐほうがいいと思ったからですね。

いままでは、苦手は克服しないと思っていたことが、きれいに吹っ切れました。おかげで、自分がどうしていきたいかが見えるようになりましたね。それでWEBデザイナーを目指していたんですが、結果的にエンジニアの道に進みました。

──エンジニアに転向して、いつフリーランスになった?

エンジニアに転向したのは、24歳のときですね。フリーランスになりたいとは思っていましたが、何の経験もない自分には難しいだろうと考え、まずは会社員として現場経験を積もうと就職しました。

そこでは2年半ほど勤めていたので、フリーランスになったのは26歳のときです。この間にシステム設計の上流から下流までの全工程を経験したことは、フリーランスになった今でも活きています。

──エンジニア転身後、ADHDであることで困ったことは?それをどう乗り越えたか?

会社員時代は、口頭指示が苦手だということを伝えて、指示を受けるときは紙に書いてもらったり、苦手分野の書類作業も可能な限り代わってもらったりしていました。苦手を苦手と伝えずに指示されたことをしていれば、ミスが起こることは目に見えていたので。

「苦手」「できない」を伝えるのは、恥ずかしいことじゃないし、悪いことじゃない。一方的に自分の特性を理解してもらおうとするのではなく、お互いにできることを提案し合う。正直に伝えたり、相談したりしながら、代替案を出す、できることを積極的にするなどして日々の仕事に当たっていました。

フリーランスになってからは、連絡などは基本的にテキストメッセージなので、口頭指示によるミスがなくなりましたね。

──フリーランスのエンジニアで、どんなところに楽しさや難しさを感じるか?

楽しいところは、サービスを考えたり、設計したりするところですね。ADHDの人はクリエイティブな面があるので、それが上手く活かせていると思います。

難しいと感じているのは、案件の獲得ですね。フリーランスは誰かが代わりに仕事を獲ってきてくれるわけではないので、自分で営業活動をしなければなりません。人間関係ができていないうちに営業することができないので、今は知人やクライアントの紹介、SNSなどから仕事を得ています。

──フリーランスのエンジニアになり、どんなところが大変か?

フリーランスだからというわけではないですが、コミュニケーション面に大変さを感じますね。クライアントの全てがシステム設計について知識があるわけではないので。相手によっては、一から説明が必要です。

意思疎通や意思の共有ができていないまま仕事を進めてしまうと、修正が多くなったり、コストと見合わない業務内容になってしまうこともあります。たとえば、コストを抑えたいクライアントが相手の場合、コストに合わせた設計をしてもクライアントの理解を得られないケースもあります。

これは伝え方にも問題がありますが、どんな相手と仕事をするのか、見極める目を養うのも大切だと感じています。どんなクライアントのどんな案件を取るかによって、その後のスケジュールや負荷が変わってくることが少なくないからです。

これからフリーランス・エンジニアを目指す方に伝えたいことは?

最初は、失敗できる環境があるのが望ましいですね。フリーランスにとってミスが命取りになることもありますから。その点でも、会社でエンジニアを経験してからフリーランスに転向するのが、ベストだと僕は考えます。

フリーランスなら全ての責任がのしかかってきますが、会社員なら会社が盾になってくれる。それに、経験を積ませるためにいろいろな業務をさせてもらえます。それらは、フリーランスになれば、全て自分でやらなければなりません。

会社勤めをせずに即フリーランスになるのがダメだというわけではないですが、積み上げてきたものがない分、フリーランス活動における基盤がもろくなりがちです。

それを覚悟しておく必要はある

のではないでしょうか。